北欧と日本 ②
生まれた場所 育った土地
わたしたちを作る
大切な要素
生まれた場所 育った土地
わたしたちを作る
大切な要素
好きより手前の
自然なこと
北欧と日本のあかりの考え方の違い。
これを語る上でまず初めにお伝えすることが国の違いです。国が違うとどうなるか。まず気候や風土が大きく違いますよね。すると当然、その土地に適応した生態系ができます。生態系なんていうとちょっと大袈裟な感じですが、例に漏れず含まれるわたしたち人類。そんなお話をしましょう。
北欧というところはとても緯度の高い場所。緯度が高いということは、太陽が昇ってもその高度がとても低く、つまり空に光が行き渡りにくく暗いということに繋がります。加えて、実際に何度も訪れた方やお住まいだった方なら分かるかもしれませんが、天気が悪いことが多く、太陽の光というのが本当に貴重な国。特に冬期はまるで太陽が出ない日も少なくないのです。そんな土地で生まれ育った彼らの瞳は、わずかな光でもたくさん取り込めるように、そして暗い環境でも適応できるようになりました。
かたや、日本はというと一年を通じてどこをどのタイミングで切り取っても太陽光が潤沢に降り注ぐ、たいへん光に恵まれた国。欧米の方が日本に来られた時、サングラスをされているのは瞳が光を取り込みすぎて眩しいからというのは有名なお話ではないでしょうか。
かく言う、生まれた場所の日常がどれくらいのひかりに包まれているかというのは、身体の構造に影響を及ぼすほど大きなものなのです。
そんなかれらとわたしたちですから、生活様式は違って当然。とりわけ、光を扱う照明においては無関心ではいられない問題なのです。ところがこのお話、意外なことに照明業界ではあまり言及されることはありませんでした。それにはふたつの理由があります。
あなたのこと
わたしのこと
一つ目は、目の能力というのはわたしたちが思うより遥かに高性能であるため、ある程度の明るさ環境の違いには適応できてしまうという事。簡単にいうと「慣れる」です。
しかしながら、心地よさや快適さというメンタリティを考えるのであれば「慣れる」で通り過ぎてしまわずに、きちっと注目したいところ。「『よく』見えること」でも書いたのですが、ちゃんと物体が見えることと空間が素敵に見えることの両方が、心地よさに繋がってくる要因。
それぞれに過ごしてきた環境がありますから、改めて自分自身に馴染みあること、自分自身にとって自然な光の量であることを優先したいなぁなんて、わたしたちは思います。
そして、二つ目の理由は瞳の色に関わる事。一昔前では瞳の色は人種の問題に繋がる懸念から、ややセンシティブな扱いを受けていたようです。しかし、これは言わずもがな医学的な話。わたしたちの適性、嗜好を知るため、そして快適な生活を考えるために、瞳の構造というのはとても大切な情報であると考え、ここでお話させていただきました。
その他にも、様々な要因で作られてきたわたしたちの身の周りの環境、そして生活。感覚というのは、感性や嗜好ほど簡単に国境を越えられるものではないから、この機会に是非もう一度、自分自身で確かめてみましょう。