北欧と日本 ①
その場所で その部屋で
あなたとわたしは同じように
あかりを感じているのでしょうか
その場所で その部屋で
あなたとわたしは同じように
あかりを感じているのでしょうか
あなたには
明るく
わたしには
暗い
明かりの話になるとよく話題に上がるのが北欧という言葉。多くの人に愛されているPHランプをはじめ、洗練された照明器具がとても多く、あかりと共に歩んできた国民性が垣間見えます。その美しい製品の数々はわたしたちのようにあかりに関わる仕事をしていない方の目にも、とても魅力的に映っていると思います。
そして、その人気を裏打ちするように、インテリア業界では常に北欧風・ノルディックスタイルなどの企画や特集が組まれていますよね。そんな情報をきっかけにこんな暮らしがしてみたい、自分の部屋にも取り入れたいとインテリアの見直しを考えた方もたくさんおられるはず。
しかし、キラキラした表舞台とは裏腹に、リアルでは「失敗だった」「後悔した」という声も多く寄せられていることをご存知でしょうか。
それはいわずもがな「明るさ」の問題。買ってはみたものの「暗かった」「暮らしにくかった」「家族に不評だった」などという声はとてもよく聞かれます。わたしも実際にメーカーに勤めていた時は、たくさんの方に説明させていただいたのを覚えています。特にそういった懸念があることをわかっておられて、事前に「暗くないですか?」「明るいですか?」というご質問をされることも非常に多くありました。
なにせそうそう買い替えるものでもない上に、日々の快適性を左右するインテリアですから、おいそれと決めるわけにはいきません。けれども、選んで買って取り付けてみると、、、う〜ん、ということがある。
わたしには
暗く
あなたには
明るい
これは、簡単にいうと提案側と使用者の間で明るさのイメージが擦り合わせられていない場合に起こります。
「◯Wあるので十分ですよ」と説明されたとき、その十分はあなたにとっての十分でしょうか。
その器具が光を放つ方向、それを形作る素材、そして空間がどのように明るくなるか。ただの消費電力であるW(ワット)数と、見栄え良く加工された写真から伝わってくる情報をどれくらい信じれば良いのでしょうか。
明るさのことを伝えるためには専門的な知識が必要です。ところが昨今では、大手でもない限り器具を買う場所に専門家がいることは非常に稀になりました。
冒頭にお伝えしたような有名な器具には歴史や背景があり、その魅力を伝えてくれる方がたくさんいます。しかし、市場にはイメージを先行させるあまり、実際の使用環境は考慮されずに生み出されているものが多いのも事実。具体的な説明もなく「北欧」という言葉の魅力に頼った感覚的な提案は、見ていて少し思うところがあります。
もう少し確認すればよかった。やっぱり別のものにすればよかった。分からないまま買って後悔するような、そんな残念な事が起こらないように、何を基準に考えれば良いのかや、どのように使うのが適切かを、わたしたちがお伝えできればいいなと思っています。